
20数Pを描いてる頃でした。
その日はアシスタントのN原と一緒に仕事してたんです。
夜9時位だったかな。
ペン入れをしてる途中、ふと左後ろに目をやると・・・・
あの、太古の昔からほとんど姿形を変えずに生き延びている黒い悪魔、あいつがいたんですッ――!!!!!
水瀬「んふsだふぃがひfh!!!」
N原 「どうしたんですか先生!!」
悪魔は悲鳴にびっくりしたみたいでぴゅーっと棚の後ろに隠れました。
N原もしっかり目撃。
もうパニックです。2人でパンデミックです。
あまりのキモさに地面に足を付けたくなくてイスの上で2人で体育座り。
水瀬「うち、いなかったのに!いなかったのにー!!」
N原「ですよね、ですよね!!」
動けない・・・
でも殺らなきゃ・・・殺らなきゃ・・・・・
追い詰められた時のシンジくんの気持ち、わかります。
とりあえず「すすいだ瞬間キュキュット」を机の上に常備。
(キュキュットって、全部カタカナなんだ。)
数分膠着しましたが、締め切りもやばいのでとにかく描かなきゃ・・・
最大警戒で原稿に向かいました。
私の円は一体何メートルなんだろう。(ハンタネタ)
私のATフィールドは役に立つのか。(エヴァネタ)
とにかく、瞬間移動するあいつを止めなきゃ!!
長期戦覚悟してたら5分で出てきました。
きたーーーーー!!
でも、いくらキュキュットを装備してても心が折れてる私は動けなかった・・・
水瀬「お願いN原!!殺ってーーー!!」
N原「えええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!
わかりました。」
このN原という女、普段はへっぽこなんです。
かわいいやつなんですが、へっぽこなんです。
そのN原が、叫びながらも空のCDケースの中へ逃げたあいつに大量のキュキュットをブッシャーーーーとかけたのです!!
近づくのも嫌なはずなのに!
N原は自分ちで出たあいつを殺る時はいつも妹と殺るそうです。
とどめは妹。
生まれてこのかた、自分で手を下した事は無いって言ってたのに・・・・・
まさかうちで殺しの初体験―――!!
キュキュットがかかった瞬間、聞いたことの無い叫び声でN原がなんか言ってました。
あまりになんか言ってたので、笑いをこらえるのに必死でした。
そして、CDケースごとトイレに持って行ってばいばいしてくれました。
流す時、
N原「先生は見ないでください!」
水瀬(えっ!!かっこいい!!)
キュキュットまみれになったケースは私が洗いました。
洗ってる最中、へっぽこN原が私には勇者N原に見えた。
この水瀬村を、突然現れた瞬間移動能力を持つ黒い悪魔から救ってくれた勇者さま。
勇者さま、最後にこう言いました。
勇者「あいつ、黒かったんで家ゴキじゃないですよ。
家ゴキは茶色なんです。
きっと、外から入ってきたんですよ。」
水瀬(勇者サマーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!)ぶわあ
「一匹出たら~」って言うじゃないですか。
もう同棲覚悟してましたからね。
へっぽこN原なんて言ってごめんね。
あの時のN原、かっこよかったよ!
その日の夜、寝てる時に勇者さま、ちょっとした何かの気配に叫んでましたけどね。